2015/07/17

ありきたりな夏












あたりまえのように雨が降っている。
あたりまえのように雨が止む。
あたりまえのように晴れわたり、
あたりまえのようにセミが鳴き出す。
普段生活している場所はとてもありきたりで、
ちっともめずらしく無い。

あたりまえのように布団を出て、
あたりまえのように歯を磨く。
あたりまえのように電車に乗って、
ありきたりの一日を始める。

季節が夏でも冬でも、
ありきたりは変わらなくて、
なんだかちっとも面白く無い。




































幼い頃は小さなものが見えていた。
小さな音も聞こえていた。
それらはとてもめずらしくて、
ちっともありきたりじゃなかった。

遠い雲も、
小さな蜘蛛も、
みんな同じところで感じていたのに今は、
雲は空に、
蜘蛛は蜘蛛の巣の中に、
あたりまえのようにいる。















































あたりまえのように日が暮れて、
あたりまえのように暑い一日が終わってゆく。

今日があたりまえのように過ぎたなら、
僕はきっと幸せなんだろう。

あたりまえが増えるほど、
ぼくは満たされてゆくんだろう。

今日も、
あたりまえのように赤い夕焼け空に、
ありきたりの夏が沈んでゆく。














今日も最後までお付き合い下さってありがとうございました。




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