久し振りに雨が降り、
一段と気温が下がってきた。
しんしんと季節が変わり、
今が無くなってゆく。
新しい今は去年の今頃に良く似ているけど、
何一つ同じではなく、
全く新しい良く似た今が瞬く間に過ぎているだけ。
一呼吸するだけで僕は少し変化して、
風が一吹きするだけで、
世の中はかなり変化している。
一時を時計や言葉で表わすと、
ただの数字と観念だけになってしまう。
本当に時間を伝えるには、
全てを含ませなければならなくて、
そんな事を考えるといつの間にか日が暮れて、
僕は時間を失ってしまう。
毎日はまったく新しいけど、
見た目にはちょっとしか変化していない。
昨日と同じは、
嫌なようでちょっと心地良い。
あるべきものが何時ものようにあるのは、
とても安心する。
今日もあるのなら、
明日も多分あるだろう。
うまく行けば、
僕が生きている間ずうっとあるかもしれない。
それならとても安心なんだけど、
本当はそんなものなんか無い。
そんな事は皆知っている。
だから、
とりあえずは明日が今日と同じように来てくれればいいと願う。
時々、
全く違う今日がやって来る。
嬉しい違い、
最悪な違い。
自分が思い描く明日なんて、
何の確証も無い。
たぶんこうだろうぐらいで腹を括っていたつもりなのに、
いざ違い過ぎる今日が来ると、
戸惑うばかり。
川に流される木の葉のようになすすべもなく、
ただ翻弄されるだけ。
変わり過ぎた今日は、
明日になっても変わったままだろう。
僕たちは少しずつ変わる前のように戻そうとするけれど、
戻るわけは無く、
新しい今日を受け入れて行かなければならない。
世の中には偶然しかない。
当たり前のように明日が来るかどうかなんて誰も知らない。
もし今日と良く似た明日が来たなら、
それはただの偶然でしかないんだろう。
生き物にとっての幸せって、
今日と良く似た明日が訪れる事なんだろうな。
それは何でもない事かもしれないけど、
偶然でしか訪れない。
明日の僕の幸せは、
明日にあるんだろう。
今日も最後までお付き合い下さって、
ありがとうございました。