2012/09/21

あの胃に帰りたい



こんにちは~
ちょっと御無沙汰してしまいました。
スミマセン・・・
ただただ、
スミマセン・・・
・・・・。
さて、
御無沙汰してる間にすっかり涼しくなっちゃいました。
夜なんか最高に心地よい秋加減です。
だけど山手ではセミがまだ鳴いてたりして、
何故だか少し切なくなったりします。

夕焼けが綺麗だったりしたら、
センチメンタルに涙でもながしながら、
昭和チックに何処までも追いかけてしまいそうな僕のブログですが、
今日も少しお付き合い願います~



















先日の早朝、
いい感じに夢を見ていると・・・
”あ~、
あ~、
早朝お休みのところ申し訳ございません、
ただ今マイクのテスト中~、
ただ今マイクのテスト中~”
などとスピーカーを通した、
へりくだりつつ非常にうるさい音に起こされてしまいました。
???
寝ぼけながら、
あぁ~、お隣で運動会でも始まったのかな~と窓から覗くと、
隣の家に白黒の鯨幕が張られていました。
お葬式の準備をしていたんですね~






今は止めちゃっているんですが、
僕が小さい頃そこの家は駄菓子屋さんでございました。
少年だった僕は小銭を握り締め足げくそこに通ったものです。
ある時は、不自然にカラフルな甘い液体を凍らせただけのチュウチュウ。
またある時は、明らかに身体に悪そうなストローに詰められたゼリー。
またまたある時は、冷蔵庫に入れてないのに日持ちしている、
何の肉か分からない串かつのような物などなど・・・
ジャンク極まりない物で育った放課後の僕。

あて物でゴムの昆虫シリーズが店に入った時には、
持ってきた有り金すべてを投げ打つ
破滅的なギャンブラーになってしまいました。
狙いはゴムで出来たリアルなカタツムリ。
かなりの金額を投資するもちっとも当たらず・・・
いつだって、ちゃちなバッタやクモばっかり当たってました。
それに昆虫シリーズのくせにしょうもないカエルなんか出て来た時は・・・
”大人ってなんてずるいんだろう・・・”
と、しょんぼり帰宅したものです。
そういえばあの頃から、僕の心は歪みだしたのかもしれませんね~





















インベーダーゲームが流行った頃、
そこの駄菓子屋にも1台だけゲーム台が置かれていたんですが、
何時も近所の子供で一杯で順番待ち。
やっと自分の番が来ても他の子にジロジロ見られて超キンチョー。
なんで、あっという間にゲームオーバー。
僕ってものすごくシャイだったんですよね~
結局流行っている間はインベーダーゲームはせず、
流行が廃れて誰もしなくなった頃に、
そこの駄菓子屋で独りでひっそり楽しんでました。
駄菓子屋のおばちゃんも気を利かせてか、
信用があったのかで奥で用事をしに行き、
僕を独りっきりにしてくれました。

冬には大きな鍋でおでんが煮られていて、
これまた僕を足げく通わせてくれました。
ジャガイモや、こんにゃく、ちくわ、
大好きなスジ肉はいつも少し多めに入れてくれたおばちゃん。

お葬式はそのおばちゃんの為のものでした。

最後に道で挨拶したのは1年ぐらい前です。
僕が子供の頃は大きかったおばちゃんは、
ものすごくちっちゃくて、
すっかりおっさんに成ってしまった僕のことを、
子供の頃と同じ呼び方で呼んでくれました。



















お通夜 は夜の7時からです。
たしか香典袋が少し残っていたはず。
探してみると3袋出てきました。
筆ペンもあります。
少し別のところで練習。
普段筆ペンなんて使わないから中々うまく書けないんですよね~
えいままよ!で、いざ本番。
ハイ失敗!
2枚目~
また失敗!
筆ペンもこしがなくて書きづらい!
気を取り直して3度目の正直。
なんだか微妙・・・
まっ、ヨシとするか。
で、裏に金額を書いて・・・
あつ!
5千円なのに図々しくも1万円て書いてもたー!!

もう6時30分なのに・・・
隣では参列者が集まりだしてます。
急いでコンビニに行ったんですがゴージャスな水引付きしかない。
2件目でシンプルな香典袋と筆ペンを買い大急ぎで帰宅。
隣からは坊さんの打つ鐘の音が・・・
ちーん、
ちーん、
あわてながら、さてもう一度。
うわっ、歪んだ!
ウムムム・・・
あわてるな自分
落ち着け自分!
再度もう一度。
またしても微妙・・・
隣ではウニャウニャと、お経が流れ出しました。
しょうがない、これでいいか。
裏に住所を書いて・・・
あっ!
実家の住所書いてもたー!
・・・・。
結局、計5枚の香典袋を無駄にしてしまいました。
さあっ、急いで着替えなきゃ!
ささっと喪服に着替えて!
ささっと、
ささっと・・・
・・・・・・・・。
ネ、ネクタイが・・・!
どうしてもネクタイの細いほうが長くなってまうー!
あれほど練習したのに!
窓から隣をみると、
ひゃぁ~っ!
親族の焼香が始まってる!
え~い、いてまえ~!!
バタバタと家を飛び出し、
あわてて受付に行くと
”香典辞退”の文字が・・・!
吉本新喜劇並みにずっこけそうになりました。

















いつまでもおばちゃんだと思っていたら、
94歳の大往生でした。
はぁ~~っ!
僕の倍以上生きていたんですね。
大おばあちゃんになって、
とってもちっちゃくなっても、
僕にはあの頃のおばちゃんとそんなに変わっていないように見えていました。

僕は好きだった過去の記憶で今を見ているのかもしれませんね。

ぎりぎりなケミカル駄菓子の味や、
店に近づくと漂ってくるおでんの香り、

あの頃のちょっとシャイで、
元気な胃袋を持ったわたしに~戻って~、

あなた~に 会いた~い♪










あの日にかえりたい 荒井由美