2012/10/05

人間の照明






こんにちは。
ハラ~ハラ~と秋が深まっています。
あちらこちらが秋らしい暖色系に変わりだしました。
秋が好まれるのには色も大きく関係しているんでしょうね~
だって、秋色って美味しそう!
暖色系に誘惑され、
その後に体重計の上で寒色系になりかねない僕のブログですが、
今日も少しお付き合いくださいませ~

























今時分になると時々思い出すことがあります。
僕が小学1~2年生の頃のことです。
その当時、僕の家の隣に大きなお屋敷がありました。
大きなお屋敷ですからもちろんお金持ちでございました。
しかも、
そこの家の庭には何故か全天候型の小さなグラウンドがあったんです。
確か、そこの主のお爺さんが陸上の偉いさんか何かだったからか、
毎日放送の夕方のニュースに、
その家が出たこともあったんです。
そのテレビの取材の日、
近所の子供を招いて遊ばせている風景を撮影して行きました。


ニュースには僕の同級生達もたくさん映っていたんですよね~。
僕も撮影の日に誘われたんですが、
何故かとても嫌で誘いを断ったんですよね~
故にテレビデビューをのがしてしまいました。
テレビの中ではその家の主が、

”このグランドは子供達の為に自由に開放しています。
ここは何時も子供で賑わっています。”

などと言っていました。

でも、そこのグラウンドが開放されたのは、
その時が最初で最後・・・
明らかな売名行為でございましたね~










そこの家には僕より2~3歳年下の男の子がおりました。
はっきり言って僕はその子が大嫌いでございました。
顔つきやしゃべり方が生理的にうけつけなく、
しかも典型的なお坊ちゃま思考と振る舞い。
偉そうに上からしゃべる小僧を、
僕はちっとも好きになれませんでした。










そんなある日の事、
その頃巷ではテレビアニメのマジンガーZが流行っておりまして。
その人気ゆえおもちゃ会社のポピー(現バンダイ)から、
超合金マジンガーZなるフィギアが発売され、
当時の子供達の憧れの的になっておりました。
ずっしりと重いそのフィギア、
欲しくて欲しくてたまらなかったんですが、
当時の我が家は裕福では御座いませんでしたから、
いくらおねだりしたところで買ってもらえはしませんでした。
そんな夢の超合金マジンガーZを2つも持っている子供がいたんです。
それがとなりの奴でございました・・・

TVCMでは超合金マジンガーZはずっしりと重く、
ロケットパンチも繰り出すとか・・・
触ってみたい!
ロケットパンチを発射させてみたい!
という欲望が渦巻いていましたから、隣のその子に
”さわらせて”
と、僕がお願いしましたらばその子は、
”1回50円でさわらしたるわ~”
と、のたまった訳です。
・・・・・・・。
ねっ、あなただって嫌いになるでしょ?
悔しくて、腹が立って、
いまだに鮮明に思い出すあの時の憎たらしい顔・・・
モヤモヤしながら家に帰ったのが、
ちょうど秋の今時分でございました。


後にそこのお屋敷では色々あり、
結局家には誰もいなくなり、
今は広~い空き地になってしまいました。















その頃の我が家の構成は、
ばあちゃん、
父、
兄、
僕、
の4人でございました。
見てのとおり母親は居りません。
母親は僕が3歳ぐらいの時に出て行ってしまいました。
なので僕は母の顔を覚えておりません。
僕たちは母がわりのばあちゃんに育てられたんですよね~

さっきの超合金マジンガーZ侮蔑事件の数日後のある日・・・
ばあちゃんが、僕たち兄弟を連れて出かける事になりました。
でも何故か行く先は教えてくれないんですよね。
ただ、目的地に着いたら、
”いい子にするんやで。”
と言うばかり。
僕たちは何のことやら分からず連れて行かれました。
けっこうな時間を電車にゆられようやく着いた目的地は、
どこかのアパートの一室でございました。
そこのアパートには、
見知らぬ優しそうな女の人が住んでおりました。










 


その女の人とばあちゃんは2人で話しており、
僕たちはその間、出されたお菓子やジュースを食べながら、
大人しくしていました。

そのうちばあちゃん達の話が終わり、
ばあちゃんはこのアパートに残り、
その女の人と僕たち兄弟の3人で出かけることになりました。
まったくもって訳が分からぬまま、
僕たちは何故かおもちゃ屋に連れて行かれました。
そこでその女の人は僕たちに、
好きなおもちゃを買ってくれるというんです。
ほんとに?
どれでもいいの?
と何度も聞き返しました。
でも、何で?如何して?
知らない人に物を買ってもらったりしたら父に叱られてしまう。
などと心の中で葛藤していたんですが、
目の前には夢の超合金マジンガーZが手招きをしていました。
誘惑に負けてしまい、
これでもいい?とZを指差したら、
その女の人は快くいいと言ってくれました。

僕は超合金マジンガーZを買ってもらえたのが嬉しくてたまりませんでした。
その後、近くの公園を少し散歩して、
またばあちゃんの待つアパートに戻りました。

そして、いざそのアパートをおいとまするって時、
ばあちゃんが僕たち兄弟にその女の人に
”おかあさんになって下さいってお願いしなさい。”
と、言うんです。
薄々そんな事だと分かってはいましたが、
いざ言葉にされるとすごくショックで、
何だか涙がポロポロ流れ出て、
僕たち兄弟2人共わんわん泣きながら、
”おかあさんになってください”
って、お願いしたんです。
そしたらその女の人は、
”はい、わかりました。”
って、優しく微笑んでくれました。













家に帰るとまたもう一つ仕事が待っていました。
ばあちゃんは、今度は再婚したがらない父に、
”再婚して”
とお願いしろと言うんです。
子供ながらに気を使って、
父には母親の事は言わないようにしていたのに、
再婚しろだなんて言えるわけが無い。
数日逡巡した挙句、ようやく父に切りだしましたが、
再婚する気はまったく無いらしく、
何故かしっかり僕だけ怒られてしまいました。
それ以来我が家では、前より一層”母”という言葉は、
タブーとされてしまいました。
そして、あの超合金の女の人とともそれっきりで、
2度と会うことはありませんでした。
 









超合金マジンガーZを手にした僕はさっそく友達に見せ、
当然ですがお金なんか要求せず皆にかして遊んでいいたんですが、
気が付くと僕のZは何処かに消えて無くなっていまいました。
友達を疑いたくはなかったので、
一人であちこち探して回ったんですが見つからない。
何日も何日も探したんですけど、
何処にも無いんですよね~










いくら家族でも言ってはいけない事があったりして、
そこの部分は照明の電球が切れてるみたいに暗いんです。

もしあの女の人がその切れた電球の変わりになっていたら、
もうちょっとうちの家も明るくなっていたんでしょうかねぇ~



継母さん、僕のあの超合金マジンガーZ、どうしたでしょうね・・・