今日は一日中雨が降っていた。
冬の雨はとても憂鬱。
朝焼けも見えなければ夕焼けも見えない。
いつの間にか朝が過ぎて、
気が付けば今日がもう終わりかけている。
絶え間なく聴こえて来る雨の音が、
強くなってみたり、
弱くなってみたり。
雨音は一つとして同じ音はしないはずだけど、
聞こえてくるのは御馴染みの音。
子供の頃に聴いたあの雨音は、
今聴こえて来る雨音にかき消され、
まるで同じ音の振りをしている。
子供の頃に居た家じゃないのに、
窓の外から聴こえて来る雨音はあの頃と変わりなく、
憂鬱な気持ちもあの頃と変わりなく、
雨はいつまでも雨樋をたたいてる。
いつの間にか雨音は止み、
白々と夜が明けて来る。
カラスが鳴いているから雨はもう降っていないんだろう。
そういえば、
以前は窓辺に雀がよく来ていたのに、
最近はちっともやって来ない。
雨粒に一つとして同じものが無いように、
雀だって一羽として同じわけじゃない。
僕の部屋の窓辺に来ていた雀はもう居なくなったんだろう。
時間は過ぎて全てのものは変わって行く。
僕も刻一刻と変わってる。
今この窓辺に雀がやって来たら、
僕の音の記憶が呼び覚まされ、
安堵の気持ちになれるのに。
付属する記憶が呼び覚まされ、
曇り空だけど明るい陽射しを感じられるのに。
でも、
雀はやって来ない。
遠くでカラスが鳴いているだけ。
まぁ、
この記憶も何時かは懐かしく思う日が来るかもしれないけど。
記憶なんて曖昧で、
常に今の情報に影響を受けているんだろうな。
はっきりと思い出せる映像なんて一つもない。
随分会ってない人の声はもどかしいくらい思い出せないし、
死んでしまった愛犬の鳴き声はぼんやりと雰囲気しか思い出せなくて、
隣の犬の鳴き声にかき消される。
誰とも共有できない僕の古い記憶の上に、
新しい記憶の雨が心地良い音をたてている。
もう何故かは思い出せないけど、
雨は僕の良い思い出なんだろうな。
また雨が降らないかなぁ
今日も最後までお付き合い下さってありがとうございました。
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♪ 雨の慕情 八代亜紀