2015/02/06

返事はいざない
















梅の蕾もふくらんで、
少しずつ春めいたものが増えてきている。
今日は昨日より暖かそうで、
一昨日よりもずいぶん春が増えている。
明日はもっと春が増えるかもしれないけど、
もしかしたら今日よりずいぶんと春が減ってしまうかもしれない。
明日の春はどれくらいなんだろう。
明日の僕はどんな気持ちなんだろう。
明日の僕に聞けるなら、
明日の僕は何と答えるんだろう。
僕は明日の僕に手紙を書く事が出来るけど、
明日の僕は僕に手紙を書けない。
聞きたい事は山ほどあるのに、
明日の僕は何も出来ない。
僕は無数の昨日の僕で出来ているのに、
その内の誰一人の僕にも手紙は書けない。
何枚書いても届くのは明日の僕だ。
でも、
100通くらい書けば1通くらいは届くだろうか?
もし届くなら僕は昨日の僕に何を書くだろう。


















































昨日の僕に手紙を書く事が出来るなら、
ずいぶん昔の僕にも手紙は届くだろう。
行き詰まって苦しくて、
先の事が真っ暗にしか見えなかったあの僕に、
光を灯せる手紙を書こう。
あの時のあの場所で、
不安が全身を包み心細くて心の中がとても冷たくなっていた僕に、
温かい大きな手のような手紙を書こう。

何の助けにもならないかも知れないけど、
少しくらいは光が差すかもしれない。
少しくらいは上を見れたかもしれない。



























































昨日の僕に手紙を書けるなら、
明日はとても寒くて最低な天気だと嘘を書こう。
明日の事は誰だって知りたいけど、
今日と差ほど変わりない明日なんて誰も知りたくない。
でも退屈な今日を書いた手紙を昨日の僕に書いたなら、
この手紙が昨日の僕に届く頃には、
今の僕はここに居ないかもしれない。
昨日の僕は明日を嘆いて何処かへ出かけ、
今日の僕は消えてしまう。
何処へ消えるかは知らないけど、
今日の僕が消えてしまう事を今日の僕は知りたくないから、
返事はいらない。



















今日も最後までお付き合い下さってありがとうございました。




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