2014/08/11

液晶越しに消えた夏








ギラギラと照りつける太陽に、
やかましい蝉の鳴き声。
ちょっと動くと汗だくになる為、
洗濯物がすぐたまる。
でも、夏の暑い時に水を触るのは気持ちいいから、
洗濯はさほど苦ではない。
まぁ、
洗濯物を洗うのはほぼ洗濯機だから僕は殆ど水には触れない。
でも、
洗濯と言うだけで少し涼しい気分を連想してしまう。
グルグル回る水の渦の中で、
グルグル回る僕の洗濯物。
ねじれて、
よじれて、
引っ張られて、
僕の物になって行く。
僕のハンガーに吊るされて、
僕の部屋で乾いて行く。
僕のせいで糸がほつれ、
僕のせいで色褪せる。

箪笥の中では、
この間買ったTシャツの隣に、
10年前のTシャツがあり、
その横には20年は着ていないTシャツがある。
着ていないけど、
たまに洗濯する。
洗濯するけどやっぱり着ない。
捨ててしまえばいいんだけど、
捨ててしまうとこのTシャツの事は2度と思い出せなくなるだろう。
それは記憶が無くなってしまうようで少し寂しい。
久しぶりにそのTシャツを着てみると、
蘇る生地の感触と匂い。
僕は満足してそのTシャツを脱いで、
また洗濯する。
グルグルよじれて、
まだまだ僕の物。






















































僕のパソコンが壊れた。
あんまりパソコンの事はいまいちなので、
正確にどう壊れていたのか分からない。
だけど、
使えなかったんだから壊れていたんだろう。
電源のスイッチを入れて起動させ使用していると、
15分くらいで画面にノイズが入り、
フリーズする。
強制終了してもう一度電源を入れると、
明らかに嫌なビープ音が鳴り出し電源が入らない。
またまた強制終了して全てのUSBを抜き、
しばらくしてからもう一度USBを挿して電源をいれると、
嫌な黒い画面が出た後に何時もの画面に戻り、
ようやく起動する。
良かったなぁ~
なんて思いながら使用していると、
またしてもノイズが入ってフリーズ。
知り合いのパソコンに詳しい人が言うには、
何処そこにホコリが溜まってるかもしれないから、
掃除してみてはどうかとの事。
電話で尋ねたので、
何処を掃除すれば良いのかがイマイチ分かって無かったんだけど、
とりあえずパソコンを開けてみました。
確かに冷却ファンのある所にはホコリがずいぶん溜まってる。
早速、掃除機でホコリを吸い取りました。
まぁ、
この行為はやってはいけなかったらしく、
後で友達に叱られましたが、
見た目は綺麗になりました。
これでもう一度すべてを元通りに戻し、
電源をいれると…
さっきと同じ黒い画面の後に何時も画面が出てようやく起動。
今度は大丈夫そうだなぁ~
なんて思いながら使用していると20分くらいで、
ノイズ&フリーズ…
どうも非常にダメっぽい。
パソコンに詳しい知人の処へ持って行けば治してくれるんだけど、
僕のパソコンの中は僕の性格と同じで非常に散らかっている。
だから、
人に見られると恥ずかしいものがあちこちに散らばったままなんです。
他人からすればたいしたことでは無いんですが、
恥ずかしいもんは恥ずかしい。
それに、
沢山ある写真のデータが本体に残ったままで、
もし完全にパソコンが壊れるとすべて無くなってしまう。
これも非常にダメっぽい。
今のところ15~20分は動くので、
その間にいらないデータは処分し、
必要なデータは外付けハードディスクに移動するしかない。
時間を見つけて、
恥ずかしいデータを削除してはフリーズし、
USBを抜き差ししては再起動。
大事なデータを移動してはビープ音が鳴り、
またまたUSBを抜き差しして再起動。
僕はそんな事を一週間ぐらい繰り返しました。
そして、
データの移動があと少しの処に来た時、
僕のパソコンは1分ぐらいしか作動しなくなってしまいました。
これでは何も出来ない。
ここまでかと諦めかけてた時に友達がやって来て、
改めて携帯電話で対処の仕方を検索をしてくれました。
僕も最初に検索はしたんですが、
対処法の最初の2行は読めるもののその後はちんぷんかんぷん。
それらは只の記号の羅列になってしまう有り様。
僕には対処法の対処の仕方を検索する気は起きませんでした。
そんな僕の救世主である友達が探しあてた対処法は、
何とか言うパネルを外してその下をエアーダスターで掃除すると言うもの。
静電気防止のためにゴム手袋をした方が良いらしいんだけど、
そんなものは無いので、
そこいら辺の金属を触って放電。
さっそくパネルの取り外しを開始します。
パネルは4枚あり、一番手前から外してみました。
パネルは以外と簡単にはずれ、エアーダスターでプシューッ!
そしてまたパネルを元に戻そうとするんですが中々上手く収まらない。
数分かけてようやくカチッと収まりました。
これは冷汗ものです。
2枚目のパネルも同様に外して掃除したんですが、
またしても収めるのに冷汗をかくしまつ。
ちょっと怖くなったので、これくらいで一度電源を入れる事にしました。
抜いていたUSBなどを元に戻しいざスイッチオン!
不吉な黒画面の後に何時もの画面が出てきました。
どうやらしばらく動きそうなので、
急いで残っていたデータの移動を再開。
10分が経ち、
20分が過ぎ、
気が付くと作業を始めて1時間が過ぎようとしていました。
パソコンはなんともありません。
むしろ、
いらないデータが無くなった分サクサク動いている。
これって治ってる?
僕と友達は静かに両手を上に挙げました。
それから数日が過ぎていますが、
僕のパソコンは元気に動いています。
成せばなるもんですね。

































ずい分前に、
かなりの量の写真のデータとイラストのデータを、
うっかり、
すっかり、
削除してしまいました。
気が付いた時の狼狽っぷりはハンパ無く、
あの時は、
パソコンにうとい僕でも必死になり、
何とかデータを復活させました。
が、
無くしたデータを復活させた時、
写真の量が多かったせいもあるんですが、
ファイル無しのバラバラ状態で復活。
戻って来た無数の画像達を前に、
改めて途方に暮れました。
しばらくの間、
時間を見つけては整理していたんですが、
僕は気付いてしまいました。
この写真達、
”整理しても多分もう見ないかも”と・・・
これは、
”あると言うだけで良いのかも知れない"と思い,
今もメチャクチャのまま外付けハードディスクに入っています。
でも、
この外付けハードディスクも何時かは、
あっけなく壊れてしまうでしょう。
その時、
多分僕もあっけなく諦めてしまうでしょう。

瞬間瞬間に増えていく記憶との別れを繰り返し、
僕も少しずつ壊れてゆく。

それが成長なんだろうか。



































多分、
本当に大事なものなんて無いんでしょうね。
そもそも、
パソコンの中にあるものなんて、この世に存在するもんじゃない。
中を開いたって訳の分からないコードや機械が入っているだけ。
電気を通さなければ、
ただの箱です。
そして、
それは人も同じ事。
何か入っているようで、肉と血が入ってるだけ。
生きてないとただの塊り。

そんなものが無数にある。
無数にあるけど意味なんて無くて、
遠く離れれば見えなくて。

自分で自分を壊してまでして守らなきゃならない大事なものなんて、
存在しないんです。

世間一般なんて言うものは、
この世に存在しません。
そんなものを気にせずに生きていればそれだけでいいんです。
”そうは言うけど”
と、人は言うでしょう。
でも、
そういう考えが人を壊してしまうんです。
人は生きてないと人じゃないんですから、
生きていればいいんです。
大事なものはそれだけです。













今日も最後までお付き合い下さってありがとうございました。



最近全然描いてないんですが、
こちらでイラストを描いてます。
よかったら覗いてください。



ダーク・ブランコ Dark Blanco





ガラス越しに消えた夏 鈴木雅之