2013/06/20

いとしのマリー





こんにちは。
カラカラに乾いていた先週は、
今週に入ってグッショリ~雨模様。
暑さと渇きで少し伸び悩んでいた植物達が、
この雨でぐうっと育ったような気がします。
今日なんかは少し空気がひんやりしていて、
先週の田植えで日に焼けた僕の肌を心地良く撫でてくれます。
今、
僕の頭と顔と腕は日焼けで渋茶色。
しかし、
額から頭部にかけて皮がめくれ、
長年使い込んだカバーを外した枕のように、
なんとも汚らしいまだら模様。
腕も皮が所々めくれだして、
非常にガサガサ。
胸部は去年に日焼けしたタンクトップの跡がうっすら残り、
下半身はなまっちろい貧弱カラー。
この間の夜に暗闇で、
大きな石がある事に気付かずけつまずき、
夜道で思いっきり転んでしまい、
スネにワンパク小僧のようなカサブタが出来ている僕。
子供の頃は常に何処か怪我をしていて、
赤チンで身体が彩られていました。
ヨードチンキもありましたが、
ヨードチンキって傷に沁みるんですよね。
その点、赤チンはあまり沁みない。
まぁ、
水銀の問題で今ではあまり見かけなくなりましたが、
赤チンって傷に良く効いていた記憶があります。
今手元に赤チンがあれば、
今回の怪我にも必ず使って、スネが真っ赤なっていたでしょうから、
うっかりショートパンツで出歩いたりしたら、
上半身はハゲしく汚らしいおっさんで、
下半身は(中身も含めて)子供チック・・・
なんともマヌケな事になっていたでしょう。
なので、
白チンと呼ばれるマキロンで消毒しましたが、
なんとなく治りが遅いような、
そうでもないような・・・

おっさんだから、
代謝がにぶくて治りが遅いんだろっ!
と、
あなたが恫喝する声が聞こえない振りをしている僕のブログにようこそ!
中年のガラスのハートは壊れやすく、
傷つけば赤チンでは治らないので、
ここは優しく、
今日もお付き合いくださいませ~




































僕が子どもの頃、
我が家には必ず犬が飼われていました。
奈良の田んぼばかりの田舎で、
のどかな生活を送っていたんですが、
それでも不審者や泥棒は多からずいる訳で、
番犬として犬を買う家庭は多かった。
しかし、
1970年代の私の村では、
犬小屋こそありましたが、
犬を紐で繋いで飼ったり、
飼い主が散歩させたりだなんて、
そんなハイソな事をする人は殆ど居ませんでした。
飼われてる犬も殆どが雑種で、
どの犬も蚤だらけ。
犬が飼われている家の前を通るだけで、
そこの家の犬が飛び出してくる。
人懐っこい犬なら、しばらくその犬と遊ぶんですが、
そんなフレンドリーな犬はそういない。
大概はハクション大魔王のブル公みたいに追いかけてくる。
でも、
漫画みたいにしつこく追いかけて来たりはせず、
追いかけて来ても縄張りである家の周りだけ。
殆どの家の犬がそんな感じだったんですが、
一匹だけ想像以上に追いかけてくる犬がいたんですよね。
まぁ、
その犬の縄張りが非常に大きかったのか、
それとも、
僕の事が物凄くキライだったのか。
その家の前を通ると、
必ず僕を追い掛け回すんですよね。
で、
ある時本を読みまして、
犬は逃げる者を追いかける習性がある。
と、いう事を知りました。
なるほど!
逃げずに立ち向かえと言う事か。
しかし、
んな事できる訳がない!
分かっちゃいるけど実効できずに相変わらず逃げ回る僕でしたが、
ある日。
何時ものように追いかけられていた僕。
しかし、
その日は何時もよりちょっとしつこく追いかけてくる。
あ~!
このままだと噛まれてしまう!!
それぐらい犬に距離を縮められた時、
僕はとっさに振り返り、
ワン!!
と大きく叫びました。
するとその犬はピタッと立ち止まりました。
そこで、
すかさず僕は叫びながら犬に向かって走り出しました。
すると犬はビックリして逃げ出し、
今度は反対に僕が犬を追い掛け回す事に。
犬は一目散に自分の家に逃げ込み、
僕は始めて犬に勝利しました。
アドレナリンが出て興奮する僕がふと気付くと、
その一部始終を観ていた郵便配達のおじさんが、
感心しながら僕に拍手してくれました。
いやいや、
おじさん。
小さい子供が犬に噛まれそうになってるんだから、
まずは助けてよ。






































1980年代になっても、
我が家では相変わらず犬を繋いだりはせず、
自由気ままに飼っていました。
その当時、
我が家で飼っていたのは雑種のメス犬で、
名前を”マリ”と呼んでいました。
その当時、
僕の家の近所にラーメンの屋台が捨てられている空き地があり、
そのボロボロの屋台に紐で繋がれてマリは捨てられていました。
マリは逃げようと動き回ったせいで紐が身体に絡まり、
身動きが出来なくなっていました。
僕が近づくと、
身動きできないけれど、フレンドリーにしっぽは振っています。
そして僕が紐を外してやると、
大喜びで僕にじゃれて来る。
しばらくマリと遊んでいたんですが、
僕の元を立ち去ろうとはしないんですよね。
とうとう家まで付いて来てしまい、
婆ちゃんにこの犬を飼っても良いかと尋ねたら、
その時は家に犬が居なかった事もあり、
意外とあっさりOKが出ました。
マリはとても大人しくて、
優しい目をした犬でした。
我が家は家の横に父親が経営する工場があり、
何かとお客の出入りが多かったんですが、
そのお客にもむやみに吠えたりせず、
非常に大人しい。
しかし夜になると、
来客者にはきちんと吠える。
非常に賢い犬でありましたが、
しかし、
女同士だからなのか、どうか分からなかったんですが、
どうも隣の婆さんだけは嫌いらしく、
その婆さんが我が家に来ると必ず吠えるし、
たまに婆さんに噛み付いたりしておりました。
今だと偉い問題ですよね。
まぁ、昔でも問題だったんですけど・・・
そんなお茶目なマリ。
ある日、夕ご飯時になっても帰ってこない。
何時も名前を呼べば、
表の道から勢い良く走ってくるのに、
その日は帰ってこなかった。
僕は何だか心配になってマリを探しに行きました。
マリの遊び相手の犬が居る家に向かって探しに行くと、
道の傍らに座り込んでいるマリを発見。
僕がマリに声を掛けると、
マリは僕を見てしっぽを振るんですが、
そこから動かない。
おかしいなと近づいた時、
何故マリが動かなかったのかが分かりました。
マリの右前足は半分無くなり、
左前足の指も全て無くなっていました。
車に轢かれたのかどうなのか、真相は分かりませんでした。
僕が慌てて抱き上げようとすると、
傷がよけいに痛むらしくキャンキャンと鳴いてしまいます。
僕はどうしたら良いのか分からなくなって、
とりあえず家に帰って父親に状況を説明し、
マリを動物病院に連れて行って上げて欲しいと、頼みました。
しかし、
無常にも僕の父親の返事はNO!
そんなもんほっとけっ!
で、ありました。
なんと薄情な・・・
父親にすれば犬畜生なだけなんでしょうね。
僕はマリの元に行ったんですが、
どうすることも出来ない。
ポロポロ涙が止まりませんでした。
ちょうどそこに僕の叔母さんが通りかかり、泣いている僕を発見。
僕が事情を話すと、
叔母さんは僕を薬局につれて行き、
包帯と、油紙と、赤チンを買ってくれました。
そしてマリの元に帰り、
赤チンをしっかり傷口に塗り、
油紙で傷口を包み、
その上から包帯を巻きなさいと教えてくれました。
僕は痛がるマリをとりあえず抱え上げ、
家につれて帰り応急処置をすることに。
動かしたせいでなかなか血が止まらない。
痛がるマリ。
マリが鳴くと僕も泣けてくる。
血と涙にまみれ何とか包帯を巻き終えました。
ぐったりしているマリを、
ごめんね、ごめんね、と謝りながら、
僕は夜中までマリの頭を撫でていました。





































翌朝、
マリは包帯を外してしまい、
また少し出血していました。
僕はもう一度、
赤チンを塗り、油紙で包み、包帯で巻きました。
この油紙を何故使うのかというと、
包帯や脱脂綿を傷口に宛がうと、
繊維が傷に張り付いて、剥がす時にまた苦痛を味わうことになるからです。
油紙であれば材質は紙なので、
張り付いても水をつければ簡単に剥がせるからだそうです。
まぁ、
その心配もなんのそので、
マリは包帯をすぐに外してしまう。
しょうがないので、
僕は毎日赤チンをマリの傷口に塗り続けました。
そのうちカサブタが出来、
傷口は新しい皮膚で完全に覆われました。
それ以降、
マリは更に大人しくなり、
隣の婆さんが来ても襲わなくなりました。
隣の婆さんだけ襲うお茶目なマリがもう見れないのは残念でしたが、
3本足で元気に走るマリは、
それから9年間我が家にいました。
その間にいろいろな事がありました。
ある晩、
マリが近所の不良犬グループに拉致された事がありました。
足が悪いから、抵抗できなかったらしく、
7~8匹の近所の血気盛んなオス犬達に草むらに連れ去られたんです。
その時部屋にいた僕。
マリの鳴き声に気付いて表に出たらマリが居ない!
遠くから数匹の犬の鳴き声にまじってマリの鳴き声が聴こえる。
僕はとっさに長い棒をつかみ声のする方へ駆け出しました。
しばらく走ると、
草むらで不良犬に囲まれたマリを発見。
僕は、
”ウワァァァァァァァ~~ッ!!!”
と叫び、
持っていた棒を振り回しながら犬の中に飛び込みました。
不良犬達は蜘蛛の子を散らすように逃げ去って行き、
僕はちょっとした英雄気分になりました。
それから数年、
色々あって、
僕は家を出て大阪で一人暮らしを初め、
マリとはあまり遊べなくなりました。
ある日の夜中。
僕のアパートに父親から電話があり、
マリが死んだ事を教えてくれました。
マリが怪我をした時には、
ほっとけ!
なんて言ってたのにね。

あれからウン十年が過ぎましたが、
マリは僕が飼った、
最後のレディー犬。

赤チンを思い出すと、

マリの誘い涙の陽が落ちます。

マリー、

my love so sweet  ~♪









自分のせいでマリに怪我をさせてしまったけど、
やっぱり犬を紐で繋いだりしたくない。
いくら尻尾を振ってるからって、
首輪なんかしたくない。

昔のように自由に犬と生活できる事を夢見る、
僕のブログにお付き合い下さってありがとうございました。
ついでなんですが、
こちらの動物達は噛み付いたりしませんので、
ちょっと遊んでやって下さいませ。