2014/09/25

明日にあるさ











久し振りに雨が降り、
一段と気温が下がってきた。
しんしんと季節が変わり、
今が無くなってゆく。
新しい今は去年の今頃に良く似ているけど、
何一つ同じではなく、
全く新しい良く似た今が瞬く間に過ぎているだけ。
一呼吸するだけで僕は少し変化して、
風が一吹きするだけで、
世の中はかなり変化している。
一時を時計や言葉で表わすと、
ただの数字と観念だけになってしまう。
本当に時間を伝えるには、
全てを含ませなければならなくて、
そんな事を考えるといつの間にか日が暮れて、
僕は時間を失ってしまう。











































毎日はまったく新しいけど、
見た目にはちょっとしか変化していない。
昨日と同じは、
嫌なようでちょっと心地良い。
あるべきものが何時ものようにあるのは、
とても安心する。
今日もあるのなら、
明日も多分あるだろう。
うまく行けば、
僕が生きている間ずうっとあるかもしれない。
それならとても安心なんだけど、
本当はそんなものなんか無い。
そんな事は皆知っている。
だから、
とりあえずは明日が今日と同じように来てくれればいいと願う。




































時々、
全く違う今日がやって来る。
嬉しい違い、
最悪な違い。
自分が思い描く明日なんて、
何の確証も無い。
たぶんこうだろうぐらいで腹を括っていたつもりなのに、
いざ違い過ぎる今日が来ると、
戸惑うばかり。
川に流される木の葉のようになすすべもなく、
ただ翻弄されるだけ。
変わり過ぎた今日は、
明日になっても変わったままだろう。
僕たちは少しずつ変わる前のように戻そうとするけれど、
戻るわけは無く、
新しい今日を受け入れて行かなければならない。
世の中には偶然しかない。
当たり前のように明日が来るかどうかなんて誰も知らない。
もし今日と良く似た明日が来たなら、
それはただの偶然でしかないんだろう。























































生き物にとっての幸せって、
今日と良く似た明日が訪れる事なんだろうな。
それは何でもない事かもしれないけど、
偶然でしか訪れない。

明日の僕の幸せは、
明日にあるんだろう。


















今日も最後までお付き合い下さって、
ありがとうございました。














2014/09/19

茜さす 末路照らされど・・・











秋風吹いて稲穂がゆれた。
夕暮れ風に曼珠沙華ゆれた。
夜長風にコオロギ鳴いて、
静かに
静かに
秋になる。


















































夕暮れ空に焚き火の匂い。
パチパチはぜて白い煙。
風に流れて誰かに香り、
赤い空にとけてゆく。
秋の香りはみかん色
秋の匂いは柿の色。
だんだん赤くなって、
夕陽にとける。


























秋が更けると、
何かを忘れてきたような気持ちになる。
何処かに忘れてきたような、
何かを忘れているような。

通りを渡る人は何でも持ってるように見える。
笑ってる人は何も忘れていないように見える。
この歳までに持っているべきものがあるんだろうか。
ここまでに忘れちゃいけないものがあるんだろうか。
それだと、
僕はかなり持っていないかもしれないし、
僕はたくさん忘れているかもしれない。

たぶん、
本当は何もいらないんだろう。
本当は全部忘れていいんだろう。
僕はそう思う。
でも、
通りを渡る人は違うと言うかもしれない。
笑ってた人は笑わなくなるかもしれない。

秋が更けて、
僕も老けて、
どうせ最後は手ぶらだから、
忘れてきたものなんて大したものじゃないんだろうな。






























































表でコオロギが鳴いている。
夕焼けには切なすぎるその鳴き声を、
僕はいつまでも覚えている。
















今日も最後までお付き合い下さってありがとうございました。






♪ 茜さす 帰路照らされど・・・